定期清掃スケジュールの作成と改善プロセス-共用部清掃のソラダム-

季節の汚れを把握しよう!共用部清掃の年間スケジュールの作り方

アパートやマンションの共用部は、建物の「顔」とも言える大切な空間です。常に清潔に保たれていることは、入居者様の満足度向上や、内覧時の印象アップ、ひいては物件の資産価値維持にも繋がります。

 

共用部を綺麗に保つためには、日常的な清掃に加えて、定期的な「ポリッシャーや高圧洗浄などの機械清掃(以下、定期清掃)」が欠かせません。この定期清掃、「年に何回実施するか」という頻度ももちろん大切ですが、実は「いつ実施するか」というタイミングも、清掃効果を最大化する上で非常に重要なポイントなのです。

 

しかし、多くの建物では、この「実施タイミング」が十分に考慮されていないケースが見受けられます。今回は、より効果的な共用部清掃を実現するための「年間スケジュール」の考え方について解説します。

 

 

なぜ定期清掃の「タイミング」が重要なのか?

アパート・マンションの共用部清掃を業者に委託する際、定期清掃の実施月はどのように決まっているでしょうか?
よくあるのは、「業者が清掃を開始した月」を基準に、例えば年2回なら「契約開始月とその半年後」といった形で自動的に設定されるパターンです。
(例:10月に契約した場合 → 10月と4月に定期清掃を実施)

 

これは、清掃業者が最初の定期清掃で、まず物件全体の蓄積した汚れを一度リセットしたい、という意図があるためです。初回に汚れをリセットすること自体は、建物を綺麗にする上で理にかなっています。

 

しかし、問題は、その後の定期清掃もずっと同じ月(例:10月と4月)で固定してしまうことです。 そのタイミングが、必ずしもその建物にとって「最も清掃が必要な時期」と一致しているとは限りません。

 

例えば、汚れがピークを迎える直前に定期清掃を実施しても、すぐにまた汚れてしまい、せっかくの清掃効果が半減してしまいます。逆に、汚れが最も溜まった「後」に集中的に清掃を行う方が、効率的に美観を回復・維持できるのです。

 

 

汚れのピーク予測の鍵は「季節の汚れ」

では、建物の汚れが最も溜まる時期は、どうやって予測すれば良いのでしょうか?
正直なところ、建物の汚れやすさは、建物の構造(吹き抜けの有無、床材の種類など)、入居者様の利用マナー、周辺の環境(交通量、近隣の砂地など)、建物の立地(風向き、日当たりなど)といった複数の要因が絡み合うため、初回の現場調査だけで正確に把握することは、経験豊富な清掃業者でも非常に難しいのが実情です。

 

そこで重要になるのが、「季節の汚れ」という視点です。
建物固有の汚れ要因とは別に、季節の移り変わりによって発生する汚れ(春の花粉や黄砂、夏の虫、秋から冬にかけての落ち葉など)は、毎年ほぼ同じ時期に、多くの建物で共通して見られる傾向があります。

 

これらの「季節の汚れ」のピークを予測し、その時期に合わせて定期清掃のスケジュールを組むことで、建物固有の要因を完全に把握する前段階でも、より効果的な年間清掃計画の土台を作ることができるのです。

 

共用部清掃シミュレーションTOP画像 - 埼玉のマンション共用部清掃はソラダム

ソラダムのウェブサイトでは、こうした一般的な季節ごとの汚れの傾向を視覚的に確認できる「シミュレーター」をご用意しています。地域や建物の種類によって多少のずれはありますが、年間を通じてどのような汚れが発生しやすいかの目安としてご活用いただけます。

※シミュレーターは関東エリアを対象としています

 

 

「季節の汚れ」に基づいた年間スケジュールの立て方

年間スケジュールを立てる基本的な考え方は、「汚れが最も溜まる時期・発生する時期の『後』に定期清掃を計画する」ことです。これにより、蓄積した汚れを効率的に除去できます。

 

【例1:夏の虫対策】
多くの建物で夏場(特に7月~9月頃)は、共用灯に集まる羽虫の死骸や、軒下・天井の隅のクモの巣などが目立ってきます。こうした汚れが蓄積した後の、初秋(10月~11月頃)に高圧洗浄などを含む定期清掃を実施することで、夏場の汚れを一掃し、気持ちの良い状態にリセットできます。

季節の汚れと最適な清掃タイミング-共用部清掃のソラダム-

【例2:春の特定汚れ(ソラダム管理物件の実例)】
実際にソラダムが管理を担当しているマンションの例です。そのマンションはすぐ横に大きな桜の木があり、毎年4月になると、共用廊下に大量の桜の花びらが舞い込みます。桜の花びらは、そのまま放置すると床に張り付き、茶色く変色してシミ汚れの原因となります。粘着質で変色した花びらの汚れは、日常清掃だけで完全に除去するのは非常に手間がかかります。

 

そこで、このマンションでは、桜の花びらが散り終わる5月頃に定期清掃(床面の洗浄)を計画しています。これにより、花びらによる頑固な汚れを効率的に除去し、年間を通じて綺麗な状態を維持することに成功しています。

 

ヒアリングも有効
もしオーナー様や管理会社様ご自身で、以前に清掃されていたご経験があれば、「どのような汚れが、いつ頃特に気になるか」といった情報をヒアリングさせていただくことも、より的確なスケジュール作成の大きなヒントになります。

 

 

年間スケジュール作成で注意したいこと

繰り返しになりますが、「業者が作業を開始した月」を基準に、機械的に定期清掃のタイミングを決めてしまうのは避けたいところです。
もちろん、初回清掃で汚れをリセットすることは大切ですが、その後のスケジュールは、今回ご紹介した「季節の汚れ」などを考慮して、戦略的に設定することが重要です。

 

清掃業者によっては、汚れの状況に関わらず、自社の都合の良い時期にスケジュールを組むケースも残念ながら見受けられます。業者を選定する際には、こうした「清掃タイミング」に関する提案力があるかどうかも、一つの判断基準になるでしょう。

 

 

スケジュールは一度作ったら終わりではない:見直しと改善

「季節の汚れ」に基づいて作成した最初の年間スケジュールは、あくまでも一般的な傾向と初回調査に基づいた「計画」です。実際の汚れ方は、やはりその建物固有の要因に大きく左右されます。
そのため、重要なのは「最初の計画で1年間清掃を実施した後、必ず見直しを行う」ことです。

定期清掃スケジュールの作成と改善プロセス-共用部清掃のソラダム-
1年間の清掃を通じて、
「予想以上に落ち葉が多い時期があった」
「春先の黄砂・砂埃が思ったよりひどかった」
「特定の階だけ、汚れの溜まり方が違う」
といった、その建物ならではの汚れの癖が見えてきます。

 

これらの実際の状況を踏まえて、翌年の定期清掃のタイミングや、場合によっては作業内容を調整することで、より無駄なく、効果的な清掃計画へと改善していくことができます。

 

ソラダムでは、最初の年間スケジュールで1年間清掃を実施させていただいた後、実際の汚れ具合を踏まえてオーナー様・管理者の皆様と一緒にスケジュールの見直しを行うことをお勧めしています。

 

 

まとめ

アパート・マンション共用部の定期清掃は、実施する回数だけでなく、「いつやるか」というタイミングを戦略的に考えることで、費用対効果が大きく変わってきます。
多くの建物で見られる画一的なスケジュールではなく、まずは「季節の汚れ」を考慮して、汚れがピークを迎えた後に清掃タイミングを設定する。

 

実際に1年間運用してみて、その建物の「本当の汚れのピーク」を見極める。
翌年以降、その結果に基づいてスケジュールを最適化していく。
このステップを踏むことで、無駄なコストを抑えつつ、常に美観が維持された、入居者様にも喜ばれる共用部環境を実現できるはずです。

 

ご自身の物件の清掃スケジュールが、汚れのピークに合わせて設定されているか、一度確認してみてはいかがでしょうか。

 

ソラダムでは、こうした季節の汚れや建物の状況を考慮した最適な年間清掃スケジュールをご提案しております。お気軽にご相談ください。
ウェブサイトの「シミュレーター」もぜひご活用ください。

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