脱ワックス(共用部清掃のソラダム)

【脱・ワックス】床材の寿命を延ばす新常識。ソラダムが「あえて塗らない」理由とは?

「清掃を入れているのに、なんだか床が黒ずんできた…」
「毎月ワックスを塗っているはずなのに、逆に汚れが目立つ気がする」

もしあなたがマンションやビルのオーナー様で、そんな違和感を抱いているなら、その原因は「ワックスの塗りすぎ」にあるかもしれません。

さいたま市を中心に10年以上、清掃の現場に携わってきた「ソラダム」の視点から、今の時代に求められる「素材を活かす床管理」について本音でお話しします。


1. なぜ「なんでもワックス」に疑問を持つのか?

これまでの清掃業界では「剥離(はくり)してワックスを塗る」のが正解とされてきました。しかし、現場を長く見ていると、その手法が逆に建材を傷めているケースを多く目にします。

ワックスは確かに塗布直後はピカピカして綺麗です。しかし、以下のデメリットを見過ごしてはいけません。

  • ● 汚れの抱き込み: 汚れが落ちきっていない状態で上塗りを繰り返すと、汚れをワックスの層に閉じ込め、二度と取れない黒ずみになります。
  • ● 建材へのダメージ: 古いワックスを剥がす「剥離剤」は強力なアルカリ性です。これがシートの隙間から入り込むと、床材の浮きや反りの原因となり、結果として床の貼り替え時期を早めてしまいます。

1.5. 「汚れてから提案」という現場の落とし穴

多くの現場を見てきて感じるもう一つの問題が、「剥離作業が計画に含まれていない」という点です。

通常の定期清掃は「毎月の洗浄・ワックス」としてスケジュールされていますが、剥離は「汚れてきたらスポットで提案します」という、いわば後回しの仕様になっている物件が非常に多いのです。その結果、現場では何が起きているでしょうか?

  • ● 汚れのミルフィーユ化: 剥離が提案・実施されないまま、汚れたワックスの上にさらにワックスを塗り重ねてしまう。
  • ● 手遅れになるまで放置: ワックスが黄変(黄色く変色)し、誰が見ても「汚い」とわかるまでリセットされない。
  • ● 結局、剥離をしない: スポット提案は別料金になるため、予算の都合で見送られ、黒ずんだ床がそのまま放置される。

これでは、綺麗にするための清掃が、逆に床を汚く見せる原因を作っていることになります。「いつか剥離が必要になる管理」よりも「最初から剥離を必要としない管理」の方が、常に一定の美観を保てるのは明白です。


2. 【実例紹介】4階建てビル:剥離による「床のリセット」

先日施工した4階建てビルの事例をご紹介します。この物件では、長年塗り重ねられて劣化したワックスをすべて除去(剥離)しましたが、オーナー様と相談して、その後あえて新しいワックスは塗布していません。

【エントランス】

脱ワックス(共用部清掃のソラダム)
脱ワックス(共用部清掃のソラダム)
解説: 蓄積した汚れで暗かった床が、素材本来の色を取り戻しました。外の雨や泥汚れが入りやすい出入口付近は、特にワックス塗布が推奨できません。

【階段】

脱ワックス(共用部清掃のソラダム)
脱ワックス(共用部清掃のソラダム)
解説: 階段の隅や段鼻(先端部分)に溜まった黒ずみは、実は『汚れを抱き込んだ古いワックス』が原因です。剥離によってこの層を一度リセット。素材本来の色が蘇ることで、暗くなりがちな階段室全体の印象がパッと明るくなりました。

【共用通路】

脱ワックス(共用部清掃のソラダム)
脱ワックス(共用部清掃のソラダム)
解説: 通路の中央だけが摩耗して色が変わり、両端に古いワックスが黒ずんで残る『獣道』現象。これを一度リセットしました。ノンワックス管理に切り替えることで、今後はこのような歩行ルートによる汚れムラが軽減されると思われます。

【共用通路2】

脱ワックス(共用部清掃のソラダム)
脱ワックス(共用部清掃のソラダム)
解説: 照明の反射が優しくなることで、空間全体に落ち着いた高級感が生まれます。


3. 「素材を活かす洗浄」こそが資産価値を守る

ソラダムでは、全ての物件にワックスを推奨することはありません。基本は「素材そのものの良さを引き出す高度な洗浄」を軸にしています。

ノンワックス管理のメリット

  1. 床材が長持ちする: 強力な剥離剤を使う頻度を最小限に抑え、建材の寿命を最大化します。
  2. 清潔感が持続する: 汚れを閉じ込める膜がないため、数年経っても「くすみ」が出ません。
  3. コストの最適化: 剥離という高額な修繕費を抑え、安定した維持管理が可能です。

もちろん、高級感を演出するために光沢が必要な物件にはワックスを適用しますが、それはあくまで選択肢の一つ。目的は「光らせること」ではなく「建材を守ること」であるべきです。

「ワックスがないと床が傷むのでは?」という疑問について

ワックスには確かに「床材をキズから守る」という保護の目的があります。しかし、現代のマンションやビルで主流となっている高機能な床材(長尺シートなど)においては、その考え方をアップデートする必要があります。

かつてのワックス管理は、床材が削れる代わりにワックスが削れる「犠牲膜」という考え方でした。しかし、現代の床材はそれ自体が非常に高い耐久性を持っています。むしろ、ワックスを維持するために定期的に使用する「強力な剥離剤(アルカリ性薬剤)」の方が、建材の寿命を縮める大きなリスクとなっているのが実情です。

ソラダムが考える本当の保護とは、「建材に過度な負担(剥離)を与えず、適切な洗浄によって摩耗の原因となる砂や泥を丁寧に取り除き続けること」です。素材本来の強さを活かす。それこそが、貼り替え時期を最も遅らせる秘訣です。


4. 10年後の床の状態に、責任を持つ。

清掃は「今、綺麗にする」だけでは不十分です。10年後にその床がどうなっているか、貼り替えコストをいかに抑えられるかを考えるのが、本当のプロの仕事だと考えています。

「今の清掃プランが本当にベストなのか?」「床の黒ずみが気になる」というオーナー様、管理会社様。一度、物件の床を「スッピン」に戻して、素材の力を引き出してみませんか?

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