
「清掃を入れているのに、なんだか床が黒ずんできた…」
「毎月ワックスを塗っているはずなのに、逆に汚れが目立つ気がする」
もしあなたがマンションやビルのオーナー様で、そんな違和感を抱いているなら、その原因は「ワックスの塗りすぎ」にあるかもしれません。
さいたま市を中心に10年以上、清掃の現場に携わってきた「ソラダム」の視点から、今の時代に求められる「素材を活かす床管理」について本音でお話しします。
これまでの清掃業界では「剥離(はくり)してワックスを塗る」のが正解とされてきました。しかし、現場を長く見ていると、その手法が逆に建材を傷めているケースを多く目にします。
ワックスは確かに塗布直後はピカピカして綺麗です。しかし、以下のデメリットを見過ごしてはいけません。
多くの現場を見てきて感じるもう一つの問題が、「剥離作業が計画に含まれていない」という点です。
通常の定期清掃は「毎月の洗浄・ワックス」としてスケジュールされていますが、剥離は「汚れてきたらスポットで提案します」という、いわば後回しの仕様になっている物件が非常に多いのです。その結果、現場では何が起きているでしょうか?
これでは、綺麗にするための清掃が、逆に床を汚く見せる原因を作っていることになります。「いつか剥離が必要になる管理」よりも「最初から剥離を必要としない管理」の方が、常に一定の美観を保てるのは明白です。
先日施工した4階建てビルの事例をご紹介します。この物件では、長年塗り重ねられて劣化したワックスをすべて除去(剥離)しましたが、オーナー様と相談して、その後あえて新しいワックスは塗布していません。
【階段】


解説: 階段の隅や段鼻(先端部分)に溜まった黒ずみは、実は『汚れを抱き込んだ古いワックス』が原因です。剥離によってこの層を一度リセット。素材本来の色が蘇ることで、暗くなりがちな階段室全体の印象がパッと明るくなりました。
【共用通路】


解説: 通路の中央だけが摩耗して色が変わり、両端に古いワックスが黒ずんで残る『獣道』現象。これを一度リセットしました。ノンワックス管理に切り替えることで、今後はこのような歩行ルートによる汚れムラが軽減されると思われます。
ソラダムでは、全ての物件にワックスを推奨することはありません。基本は「素材そのものの良さを引き出す高度な洗浄」を軸にしています。
ノンワックス管理のメリット
もちろん、高級感を演出するために光沢が必要な物件にはワックスを適用しますが、それはあくまで選択肢の一つ。目的は「光らせること」ではなく「建材を守ること」であるべきです。
ワックスには確かに「床材をキズから守る」という保護の目的があります。しかし、現代のマンションやビルで主流となっている高機能な床材(長尺シートなど)においては、その考え方をアップデートする必要があります。
かつてのワックス管理は、床材が削れる代わりにワックスが削れる「犠牲膜」という考え方でした。しかし、現代の床材はそれ自体が非常に高い耐久性を持っています。むしろ、ワックスを維持するために定期的に使用する「強力な剥離剤(アルカリ性薬剤)」の方が、建材の寿命を縮める大きなリスクとなっているのが実情です。
ソラダムが考える本当の保護とは、「建材に過度な負担(剥離)を与えず、適切な洗浄によって摩耗の原因となる砂や泥を丁寧に取り除き続けること」です。素材本来の強さを活かす。それこそが、貼り替え時期を最も遅らせる秘訣です。
清掃は「今、綺麗にする」だけでは不十分です。10年後にその床がどうなっているか、貼り替えコストをいかに抑えられるかを考えるのが、本当のプロの仕事だと考えています。
「今の清掃プランが本当にベストなのか?」「床の黒ずみが気になる」というオーナー様、管理会社様。一度、物件の床を「スッピン」に戻して、素材の力を引き出してみませんか?