
物件の購入をご検討中のオーナー様、また、新たに管理物件の評価や管理計画を策定される管理会社の皆様。物件を選定されたり、管理方法を検討されたりする上で、デザインや利便性、収益性はもちろん最重要事項かと存じます。ただ、それと同時に長期的な視点で見過ごせないのが「その物件の清掃のしやすさ、汚れにくさ」というメンテナンス性ではないでしょうか。
これは、私たち清掃業者の専門外である「物件購入そのもの」について具体的なアドバイスを差し上げるものではございません。しかし、日々の清掃業務を通じて多くの建物とその特性を見てきた経験から、将来的な清掃コストや日々の維持管理の手間を左右する可能性のある「物件の特性」について、何か一つでもご参考にしていただける情報としてお届けできればと考えております。
本記事では、清掃業者の視点から見た、比較的「汚れが蓄積しにくい」「清掃がしやすい」物件に共通する特徴や、逆に注意が必要なポイントをご紹介します。
共用通路や廊下は、入居者様や内覧者が毎日利用し、目に触れる場所。ここの状態が物件全体の印象に大きく影響します。清掃の観点から見ると、以下のような点にご注目いただくと良いかもしれません。
風が通り抜ける「吹き抜け」構造や、風が一方から吹き込みやすい「吹き溜まり」になりやすい形状の共用通路は、砂埃や枯れ葉、小さなゴミなどが集まりやすい傾向があります。こうした特性を持つ物件では、清掃頻度を考慮しないと、すぐに汚れた印象になる可能性があります。物件をご覧になる際には、風の通り道や、ゴミが溜まりやすそうな箇所がないか、少し気にしていただくと良いでしょう。
共用通路の床面では、雨水がスムーズに排水溝へ流れるよう、適切な勾配がついているかが維持管理のポイントとなります。勾配が不十分だったり、排水溝の位置が効果的でなかったりすると、雨の日に水たまりができやすくなります。水たまりは乾く際に汚れを濃縮させ、頑固な「汚れ染み」の原因となり得ます。
可能であれば、雨の日や雨上がりに物件の状況を確認し、実際に水がどのように流れるか、水たまりができていないかをチェックされると、より実情が把握できるためおすすめです。

床材は美観だけでなく、清掃のしやすさや長期的なメンテナンスコストにも関わってきます。
共用部の照明には、夏場を中心に虫が集まりやすく、それに伴い蜘蛛の巣も張られやすくなります。照明カバー内部に虫の死骸が溜まると美観を損ね、照度も低下することがあります。
これらの対策と、定期的な管球交換の手間やコストを考慮すると、照明のLED化は有効な選択肢の一つです。LED照明は虫が寄りにくい波長の製品があり、長寿命であるため、メンテナンスの手間とコスト削減に貢献します。
階段も日常的に多くの人が利用し、汚れが蓄積しやすい場所です。清掃の観点からは以下のような点があります。
屋外階段の場合、各段の踏面(足を乗せる面)に適切な水勾配がついていると、雨水がスムーズに流れ、汚れが滞留しにくくなる傾向があります。階段の脇や踊り場に排水溝が設置されている構造であれば、さらに排水性が高まり、清掃もしやすくなります。水が溜まりやすい構造は、コケや汚れ染みの原因になり得ます。

駐輪場は、自転車のタイヤについた泥や、外部からの持ち込みゴミ、風で飛んできた枯れ葉などが溜まりやすい場所です。
設置されているサイクルラックの形状によって、清掃のしやすさが変わることがあります。ラックの下や自転車と自転車の間に枯れ葉やホコリが溜まりやすい形状のものは、清掃に手間がかかることがあります。逆に、床面との間に十分なスペースがあるものや、シンプルな構造のラックは、比較的掃除がしやすいと言えるでしょう。

駐車場は面積が広いため、採用されている素材や構造によって、清掃の手間やコストが大きく変わることが予想されます。
初期コストは抑えられる傾向にありますが、維持管理の観点からはいくつかの注意点があります。
物件の状況を見る際には、砂利が隙間なく敷き詰められているか、駐車場の出入り口付近は砂利が外部に流出しないような工夫(一部アスファルト舗装や段差など)がされているかといった点を確認されると良いかもしれません。
汚れが目立ちにくく、メンテナンス性に優れていると言えますが、アスファルト表面の細かな隙間に枯れ葉や小さなゴミが入り込みやすく、これらをホウキだけで綺麗に掃き出すのは手間がかかることがあります。ブロワー(送風機)を使用すると効率的な清掃が可能です。
機械式駐車場は、構造上、機械の隙間やパレットの下などにゴミや汚れが入り込みやすく、日常的な清掃が難しい箇所です。専門業者による定期的な清掃・メンテナンスの計画が重要になります。
建物の外周は、物件の第一印象を左右するだけでなく、雑草対策や防犯面での配慮も求められます。
建物の犬走りや裏手などに防草シートを敷き、その上に砂利を敷き詰める方法は、
といったメリットが期待できます。ただし、環境によっては猫などが侵入してトイレ代わりにするケースも見られるため、忌避剤の設置などの対策が必要になる場合もあります。


ゴミ置き場の管理状態は、入居者満足度や物件の評価に大きく影響します。
道路に面したオープンなゴミ置き場は、通行人による不法投棄(家庭ごみ、粗大ごみなど)のリスクが高まる傾向があります。可能な限り、敷地内で関係者以外が容易にアクセスできない場所に設置されているか、フェンスや扉などで区画されている方が、管理上望ましいと言えるでしょう。


物件自体の構造だけでなく、どのような場所に建っているかも、清掃の頻度や内容に大きく影響します。これは私たち清掃業者にとっても、非常に重要な確認ポイントです。
これらの施設が物件のすぐ近くにある場合は、砂埃や落ち葉の清掃頻度を上げるなど、管理計画に影響が出るかもしれません。

これらの知識を実際の物件選びや管理に活かすために、具体的な確認項目をまとめた「共用部清掃 評価チェックリスト」をご用意しました。このチェックリストを使えば、共用通路からゴミ置き場、さらには周辺環境に至るまで、物件の清掃性に関わる重要なポイントを網羅的に確認できます。
以下のリンクからチェックリストを確認し、物件選びや管理にお役立てください。
今回は、清掃業者の視点から、将来の清掃コストや手間に関わる可能性のある「物件の特性」について、いくつかのポイントをご紹介しました。
物件を選定する際、あるいは管理計画を立てる際に、「清掃のしやすさ」「汚れにくさ」といった維持管理の視点を少し加えていただくだけで、将来的なコストの最適化、美観の長期的な維持、そして何よりも入居者様の快適な生活環境の提供に繋がるものと、私たちは考えております。
もちろん、全ての条件を理想通りに満たす物件ばかりではないかもしれません。しかし、これらのポイントを参考情報として知っていただくことで、物件ごとの「汚れやすさのリスク」や「清掃・管理における注意点」をある程度事前に把握し、購入後の適切な管理計画や予算策定、あるいは管理受託時のご提案などに役立てていただけるのではないかと思います。
もし物件の特性評価や管理計画において、「清掃の観点から見ると、この物件はどうだろうか?」といったご検討事項がございましたら、ぜひ一度、ソラダムにご相談いただけると幸いです。